新しい年の恋人 短編
「俺さ、閖のこと…好きだわ」
初めて呼んだ閖の名前。
初めてした告白。
ばくばくとうるさい心臓は、おさまることを知らない。
「目が離せねぇんだよ」
うるうるとした閖の瞳はまだ俺をまっすぐに見つめている。
なに言っていいかわからなくなってきて。
でも伝えたくて……。
「ずっと守ってやる、そばにいる」
言葉を並べてるだけで文にはなってねぇかもしれねぇけど、必死なんだ。
「だから、俺の女になれよ」
強引な言い方しかできねぇわ。
優しい男でもねぇしなれねぇ。
こんな俺だけど……。
ツゥーッと閖の頬を伝う一粒の雫が流れた。
「……はい」
雫が滴ると思えば、ぱっちりした瞳を細めて微笑んで小さく返事をした。
そんな閖の唇に、重ねた俺の唇。
閖の温もりが伝わる。
テレビから流れるカウントダウンが、俺の頭に響いた。
『明けましておめでとう!』
明るい声がテレビを伝って部屋に、俺の耳に響いた。
来年も再来年も、この先ずっと閖と過ごそうと決意をした。