新しい年の恋人 短編
「なんて名前?」
愛想よく笑顔で言うリク。
さっき俺に“女を選び放題”と言ったリクだが、実際こいつも顔がいい。
今まで何度も俺はリクとどっちが早く女を落とせるかとか、何人女を落とせるか勝負したりしてけっこう遊んできた。
女を落とすなんてリクにしたら楽勝だ。
狙った獲物は飽きるまで捕え続けるリク。
「シズクって呼んで?」
いつの間にか話が進んでいるリクと女。
その女をチラリと見ると、そいつもまた獲物を見つけたような目でリクを見ていた。
その様子に俺は面白さを感じた。
どっちが落とされるのだろうか……と。
この女も相当遊んできているだろう。
いろんな男を手玉にとってきただろう。
だけど、残念だが……リクはそんな簡単に落とせる男じゃねぇ。
ま、リクが落ちる姿も見てみたいのもあるな。
俺も、あの自転車の女を落とせるだろうか…?
ふと思い出すあの自転車の女。
あの女はいつの間にか俺の中にいた。