新しい年の恋人 短編
隣の女
「兄ちゃんおかえりー」
マンションに着き、自分の部屋に入ると、リビングでゴロゴロと少年マンガを読む妹。
どちらかと言えば女と言うより男。
女みたいにキャピキャピしてねぇから、さすが俺の妹。
そんな妹だったら、接していられねぇわ。
「なぁ瑞希、布団敷いてくれねぇ?」
「はぁー?なんで瑞希がやんなきゃいけないの?兄ちゃんがやれば?」
リクを連れてきたのは兄ちゃんだろ、と言ってマンガから目を離すことのない瑞希。
「おまえなぁー…文句言わずに手伝えよ。部屋貸してやってんだから」
元はと言えば、一人暮らしだった俺。
そんな俺のところに瑞希が高校が近いからと上がり込んできた。
家賃も全部俺が払ってるわけで、こいつは居候と言うのがピッタリだ。
「仕方ねぇなぁー…」
瑞希はマンガを閉じて立ち上がった。
押し入れから布団を取り出してせまい部屋にひく。
さすが兄妹といったところか。
瑞希がひいた瞬間に俺はリクをおろした。