近くて遠い君へ
「…海くんとは、大学が一緒で、
あたしの一目惚れなの。」
ミナちゃんが話しはじめたのは、二人の馴れ初めだった。
「学年違うから接点なんてなくて。
だけど、たまたま行った飲み会の席にいたの。
結局人が多くて一言も話せなかったんだけど、帰る方向同じで二人で歩いて帰った。」
真っ直ぐ前を見て、少し照れながら話すミナちゃん。
初めて聞くその話しは嫌じゃなくて、寧ろ嬉しかった。
「それから時々一緒に帰ったり、休みの日遊んだりするけど、付き合おうとか好きとか、なくて。」