近くて遠い君へ
ズキン、と痛む胸。
俺はまだ未練があったのか、と落胆する。
「結婚しちゃいましたね。」
岡崎のいつもの嫌味。
「しかしこれは…お似合いとしかいーようがないっすね~」
うるさいな。
ふと、住所を見る。
「ふーん、近くに住んでるんだ」
その言葉は口からポロリと漏れ出ていた。
パッ。
「あ、何すんの。」
岡崎が俺の手から葉書を取り上げた。
「ダメですよ、住所控えたりしたら。
敦さん偶然装おって近所彷徨くでしょ、ダメダメ」
…何だよそれ。
一瞬頭を過った自分を殴りたい。
「ストーカーっすもんね」
あはは、と高笑いする岡崎。