近くて遠い君へ


構わずミナちゃんを目で追う。

ミナちゃんは足早に車へ乗り込んだ。

こっち向かないかな…と名残惜しそうに見てたら、

「そんなに見たって向かねえよ。」

店長が呟く。

車はミナちゃんを乗せて発進した。

「…そうっすよね、

ハア。

つうか、さっき俺の顔

見なかった気がしてきた。」

ショックで肩を落としていると

「お前ね、暇だからってボーッとしてんじゃねえよ。


代表に異動願出すぞ。」

「あ。そうそう、シャンプーボール汚れてたんだ、俺掃除しないとな。」

わざとらしく言ってその場を立ち去る。


冗談じゃない、


他の店へなんて行きたくない。


ここじゃなきゃ、意味ない。
< 20 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop