近くて遠い君へ
構わずミナちゃんを目で追う。
ミナちゃんは足早に車へ乗り込んだ。
こっち向かないかな…と名残惜しそうに見てたら、
「そんなに見たって向かねえよ。」
店長が呟く。
車はミナちゃんを乗せて発進した。
「…そうっすよね、
ハア。
つうか、さっき俺の顔
見なかった気がしてきた。」
ショックで肩を落としていると
「お前ね、暇だからってボーッとしてんじゃねえよ。
代表に異動願出すぞ。」
「あ。そうそう、シャンプーボール汚れてたんだ、俺掃除しないとな。」
わざとらしく言ってその場を立ち去る。
冗談じゃない、
他の店へなんて行きたくない。
ここじゃなきゃ、意味ない。