桜が散るように ー 新撰組 ー
壱:私の名は
ーー…そう、思い出すのは
ブレーキ音と、悲鳴だけ。
「桜っ!」
私はドンッと背中を押され、転んだ。
キキィーッ!とブレーキ音のあと、聞き慣れた声の、聞き慣れない悲鳴。
「お、お母さん……、お父さん……っ。ーーっどうして!」
目を開けたら、赤い水たまり。
広がっていく赤の中の父と母。
嫌だ嫌だ嫌だ。
泣きたかった。大声で。
でも………
ーーー…泣けなかった。
そこで私の意識はなくなった。
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