桜が散るように ー 新撰組 ー



「桜さーん?」


桜を追って入ってこようとした沖田だが…


「待て総司。そこから動くんじゃねぇぞ」


今にも刀を抜きそうな剣幕の土方に止められた。


「げっ、土方さんじゃないですか」

「『げっ』とはなんだ。…それより、その手に持っているのは【御器噛り(ゴキカブリ)】だな?」


確認の言葉に、沖田は頷いた。

そして土方は


「いいか、ソレを一歩でも俺の部屋に入れてみろ。…一週間試合禁止令を出すぞ」


と、言った。

沖田は「ちぇーっ」と残念そうに、ゴキブリを逃がしに外へ出て行った。



そこで桜は一つの仮説にたどり着く。


「…土方さん、ゴキブリ…あ、ゴキカブリ苦手なんですか?」

「あ?…まぁ、アレだ。なんかこう、御器噛りを見たら、抹殺したくなるほどの嫌悪感に襲われるんだよ」

「………」



どうやら土方は
拒絶反応が出るほどゴキブリが嫌いらしい。


桜は
なんとなく親近感を持った。



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