桜が散るように ー 新撰組 ー


そして、
所変わって、道場に着いた。


桜は忍服に着替え
すでに双方木刀を構えており、臨戦態勢に入っている。


開始の合図は無い。


実戦に近い試合にするためである。



「…いつどこからでも、どうぞ?桜さん」

「分かってますよ…」


沖田の隙を伺うも
やはり見当たらない。

前回のように油断もしてないためか、あれから成長した桜の付け入る隙も無いのだ。


なかなか桜が来ないことにじれったかったのか、
沖田は態と、少し隙を作る。


―――ダンッ!


一瞬にして沖田の背後に移動した桜が木刀で胴を狙うが、沖田の持つ木刀で弾かれる。


「速くなりましたね…」

「そりゃあ、山崎さんと特訓しましたから…ねっ!」


崩した体勢を立て直し、次は突きで心臓を狙う。

沖田は避けながら桜の首に木刀を叩き込もうとする。


(…はやいっ)


重い木刀を振り回すには
やはり男である沖田に分があるため

零コンマ何秒かの差で沖田の攻撃が桜に届きそうになる。


「ぅわっ」


床を蹴って、後ろに飛び退く桜。



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