桜が散るように ー 新撰組 ー


山崎にお礼を言って部屋を出た桜は
なんとなく疲れがとれた気がしていた。


明日からまた頑張ろうと、気合いを入れ直して


「そういえばそろそろ夕飯のお時間…。っあ、土方さんを起こさなきゃ」


土方を起こしに去った。




*******


そして、次の日


「山崎に頼まれてな。ほらよ」

「いや、『ほらよ』とか言われて急に渡されても……」


桜は土方に
少し大きめの巾着を渡された。

一見可愛らしいそれは、持ってみると意外に重い。


「何ですか、これ?」


桜が土方に問うと


「鉄の塊が入ってる」


と、土方は一言で返した。


「鉄……」


山崎の意図が分からない桜は、首を傾げる。


「とりあえず、『肌身はなさず持っていろ』と言ってたぞ」


土方の言葉に、一つ頷いて、巾着を腰に結いつけた。



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