桜が散るように ー 新撰組 ー
そのまま立ち上がると結構な違和感。
(重っ!)
これを一日中肌身はなさず動き回るとなると、案外キツそうだ。
しかし今日は修行もある。
「山崎さんのところに行ってきます!」
「おぅ」
土方から短い返事を貰った桜は、山崎の部屋に向かった。
途中、何人かの隊士とすれ違いながら着いた山崎の部屋の襖を開け
「やっまざっきさー………、失礼しましたー!」
襖が軋むほど勢い良く閉めた。
何故なら
(あー、何で何でタイミング悪い私!……山崎さんの着替え見ちゃったぁー…)
そう、
山崎は着替え中だった。
桜は両手で顔を隠し、しゃがみ込んだ。
羞恥心と罪悪感とが混ざり合って体の力が抜けたようだ。
それから間もなくして
襖は開いた。
「……覗いたのか、お前」
怪訝そうに訊いてきた山崎に、桜は立ち上がって反論する。
「違いますよ!人を変態みたいに言わないでください!」
「冗談だ」
「……冗談に聞こえる冗談を言ってくださいよ」
修行する前から
体力と気力をごっそり持って行かれたような気がした。