桜が散るように ー 新撰組 ー
朱くなってしまった頬を隠すため、俯きつつ山崎に訊ねる。
「あの、鉄が入った巾着を土方さんから受け取ったんですが、……何なんですか、これ?」
「重さに馴れるためだ」
山崎の返答は至極簡潔なものだった。
言葉の足りないセリフで全てを理解できるはずも無く、桜は首を傾げる。
それを見た山崎は
付け足すように話し出す。
「…俺らのような仕事だと、刀も持つが、武器は隠し持っておくものだ」
「あぁ、クナイとか、手裏剣などですよね」
「そうだ。しかしそれらは結構な数になり、相当な重さになる」
そこまで言われて桜も話が見えてきた。
つまり、
任務でかなりの数の武器を隠し持っているときも、重さを気にせず機敏に動けるように、武器の重さに馴れろ。
山崎はそう言いたいのだと理解した。
「なるほど…。確かに馴れていた方が良いですよね」
「あぁ、だから肌身はなさず持っていろ」
桜はその言葉に一つ頷いて返事をした。