桜が散るように ー 新撰組 ー


土方と距離をとり、座り直す。


「土方さんって綺麗な顔してますよね」


眉間のシワが端正な顔を怖く見せているが…、とは言わないでおいた。


「あ?んだよ、いきなり」

「いやぁ、近くで見ても肌は綺麗だし……女性に言い寄られてるんじゃないですか?」

「何にやついてんだ」

「いえ別に。女性に言い寄られてもなお仏頂面なのか、それともデレデレするのか…どっちにしても笑えます」


想像するとどうしてもにやけてしまう桜に、土方はため息をついた。


「言い寄られはしねぇよ。恋文は貰うがな」

「…なるほど」


一般人は新撰組副長に、
簡単に話しかけられない。

肩書きもあるが
なんせ


「この顔だもんなー…」

「…どういう意味だ」


美人が怒ると怖いと言うが
まさにその通りで

美丈夫が眉間を寄せていると、これまた迫力というか威圧感がすごい。


「土方さんが高嶺の花って意味です」

「嘘だろ」

「そんなことより、皆さん土方さんに告白するなんて勇気ありますね!」


話を逸らそうと
話題を変えるが


「………」


土方は返事をせず、ただ桜を見つめた。



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