桜が散るように ー 新撰組 ー
少したじろぐ桜。
「な、なんですか土方さん」
「………いや」
そして土方はニヤリと悪どい笑みを浮かべ
「お前は俺を口説かねえのか?」
と言った。
その言葉に目を点にする桜。
「………ぇ」
「なんだぁ?口説いてくれねえのか?そりゃ残念だな」
「な、なっ、ななな」
徐々に顔を真っ赤にしていく桜。
その反応を楽しんでいるかのごとく―――いや、実際に楽しんでいるのだろうが――口角を上げる土方。
「なんで私が土方さんを口説いたりしなきゃならないんですか…!」
「お前がさんざん『綺麗』だのなんだの言ってくるからなぁ。てっきり俺のこと好…」
「ないです!ただの褒め言葉ですっ!」
土方は必死に反論する桜に苦笑して「冗談だ」と言った。
桜の頭に大きな手が乗せられる。
ポンポンと規則正しく叩かれた後、グシャグシャと乱暴に撫でられた。
「っあ!髪が」
「ん?わりぃわりぃ」
「……土方さんって、お父さんみたいです」
そう言うと、キョトンとされた。