桜が散るように ー 新撰組 ー
すると、土方さんは立ち上がっている部屋にある物置をごそごそと漁り
「ほれ。これに着替えろ。お前の着物、血まみれだろ。」
と言って、綺麗な紺色の着物をポンと投げ渡してきた。
「ありがとう…ございます……。綺麗な着物ですね。」
「俺らは外に出てるから、着替え終わったら呼べ。」
そう言って、土方さんと沖田さんは部屋の外に出ようとする。
「えっ!あの、……待ってください!」
私は土方さんの着物の袖を掴んで引き止めた。
「あ?なんだよ…。」
「いやあの………着物の……着方が分かんないです。」
「ぁ゙あ゙?」
土方さんは、まじかよ……。みたいな感じで呆れた顔をしている。
着物を着る機会など、数えるほどしかなかったのだ。
だから着物の着方が分からない。