桜が散るように ー 新撰組 ー
(……情けない!)
俯いて、唇を強く噛む。
すると、自分の手が細やかに震えているのが分かった。
(―――怖い)
(そう思うことが情けない)
右も左も分からない。
そんな時代に来て
そして
人も殺した。
(なんで…なんでなんで)
覚悟は、していたはずだった。
後悔も、してない。
だが怖い。
「あーあ、桜。震えちゃってるね」
一歩、また一歩、芳野が近付いてくる。
それから逃げることもできずに立ちすくむ。
だが
「それ以上動くな」
山崎が芳野の喉元に手裏剣をあてた。
きっと芳野が動けば
刃が芳野の喉の皮膚を切り裂くのだろう。
「……。あーあ、怖い怖い。おっかないね」
「………」
「そんな睨まないでよ、山崎くん…だっけ?俺はもう帰るからさ」
その言葉を聞いて、山崎は腕を下ろした。