桜が散るように ー 新撰組 ー
そして芳野は宣言通り帰るため、身体を翻して歩き出した。
部屋をでる直前、首だけ振り返って、山崎の後ろにいる桜を見た。
「また、ね。桜」
「………はい」
返事を聞いた芳野は、ニコリと笑って、去っていった。
同時に、身体から力が抜ける。
「川瀬桜、帰るぞ…」
山崎の言葉に、頷いた。
二つの屍の処理をして、帰路についた。
(川瀬、芳野――)
(たぶんきっと、また会う。また――戦うんだろう)
芳野の瞳を思い出す。
あの時は向けられた殺意に怯えたが
(悲しい瞳…だった)
何もかもが分からなかった。
過去も、未来も―――