桜が散るように ー 新撰組 ー
纏わりつく赤の香
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「おっはよーございます!」
「あら…元気ね桜さん。どうしたの?」
大きな声で台所に入ると、ビックリしたお美弥さんの顔。
もう太陽は頭上に昇っているお昼時に、ようやく起きた桜。
「お昼ご飯の余り物で良いならすぐに用意できるわよ?」
「いえ、あの…お腹は空いてないんです」
「あら、そう?」
「はい、その……、袋、何でもいいんで、袋無いですか?」
実際、お腹は鳴っている。でも、今はきっと食べても戻してしまう。
それより、今は必要なものがあった。
それが、袋。
「お団子買ったときの紙袋で良いならあるわよ?」
「ください!」
「? えぇ」
紙袋を貰って、お美弥さんに頭を下げてから部屋に戻った。
そして、まだ温かい布団に入り、頭まで布団で覆い隠す。
思い出すのは
今日の明け方。