桜が散るように ー 新撰組 ー


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「どアホ」


俺は藤堂の頭に再び拳を落とす。

涙目になる藤堂。
泣くなよ男のくせに。


「なんで土方さん、怒ってんの…」

「桜に、あんなこと訊くな。言うな」

「はあ!?」

「それが出来なきゃ、黙っとけ」


意味わかんね、と首を傾げる藤堂を、俺、兼、桜の部屋の前に連れて行く。

襖を少しだけ開けると


「なあ土方さん…」

「……」

「桜、何してんだ?」


部屋の中の桜は、紙袋で口と鼻を覆い、ゆっくり息をしていた。


「任務の日から、ずっとだ。息がうまく出来てない。本人曰わく『過呼吸』だそうだ」

「過呼吸…」

「辛そうにしてる、苦しそうにしてるが、ああやって一人でなんとかしてる。……人を殺して、精神が不安定になってる」


桜は、ここ数日
あまり眠れていない。

息苦しさで目が覚めるようだ。


「たぶん、お前に否定してほしかったんだろ。人を殺して、自分を正当化してしまうのが嫌で、言って欲しかったんだ。『そんなお前はキライだ』ってな」

「………土方さん」

「肯定しようが否定しようが、桜は傷つく。塩を塗るな。桜にそうさせてやるな。自分で整理させてやれ」


山崎が言うとおり
此処じゃ、『殺し』が出来なきゃ生きていけねえぞ、桜。

生き延びたければ牙を持て。

牙を使い続ける覚悟を決めろ。




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