桜が散るように ー 新撰組 ー
山崎が資料を探している間、何もする事がないので、部屋の隅に座る。
体操座りになって、膝に頭を埋める。
(川瀬家のことを知るのが一番の近道だとおもう…。この時代には、私の痕跡は無いから…)
(芳野のことも、知らなきゃ)
芳野は
酷く悲しい顔をした人だった。
なんとなく、見たことがあるような、誰かの面影があるような気がする。
けれど確かに知らない人なのだ。
「川瀬」
「え、あ、はいっ!」
物思いに耽っていた桜は、かけられた言葉で我にかえった。
顔をあげれば、何冊かの本を渡された。
開いてみると
「……山崎さん」
「なんだ」
「読めないです」
「………」
「………」
「…………は?」
達筆すぎて読めない。
文字と文字が繋がってるし、とにかく平成の文字とは大きく異なる。
「いや、あはははは」
「……しょうがない。書いてあることを簡略化して言う」
「ご迷惑をおかけします…」
桜が頭を下げると、山崎は息を吐いて、口を開く。