桜が散るように ー 新撰組 ー
と、その時
ガラリと襖が開く。
「川瀬、お前に借りた手拭いを……………川瀬?」
座り込んでいる桜の顔を覗き込んだ山崎は、驚愕した。
「…泣いているのか?」
「はい……ようやく、泣けました」
両親は桜を庇って事故に遭った。
桜は、私のせいだ、と思っていた。
でも
両親は、私のせいで死んだのは事実でも、きっと私を恨んではない。
私のせいで、と考えるのはやめよう。
両親のおかげで生きていられる。そう思おう。
だって
「私、両親のことが好きでした。両親も、私を愛してくれました。それで、充分です」
家族が大好きだった。
幸せだった。
……守ってくれた。
それだけでいい。
山崎はしゃがみこんで桜と目線を合わせると、ポンポンと頭を軽く叩いたあと、抱きしめた。
「……良かったな」
その言葉に、とまりかけていた涙が再びジワリと滲む。
山崎の着物をギュッと掴んで、堪えようとするが
「良い、泣け」
そう言ってくれるから
「う……ぁあああ!ひ、っく…うぇっ」
山崎にすがりついて、思い切り泣いた。