桜が散るように ー 新撰組 ー

儚い強さ(side:山崎)


(side:山崎)


泣き疲れて、俺の腕の中で眠ってしまった川瀬から、ゆっくり手を離す。

すると、川瀬の体が傾いて、頭が俺の膝に乗る形になった。


「……これじゃあ動けないな」


ふぅ、と溜め息をついて、川瀬の頭をなでる。
サラリと指の間を流れる髪。


泣いているのを見たとき、驚いた。

いつも、無理してでも笑う奴だから。
女なのに、甘えるのが極端に下手な奴だから。


川瀬の髪を一房掬って、それに口づける。


と、そこに


「なにしてんだ?山崎」


振り向くと、副長がいた。
……気配に気づかなかった。


「いや、川瀬が眠ってしまって…」

「コイツ」

「は?」

「コイツ、泣いたか?」


川瀬を見つめながら、俺にたずねる副長。

俺が一つ頷くと


「そうか…」


優しい眼差しで、川瀬を見ていた。




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