桜が散るように ー 新撰組 ー

思い出の景色を切り取って

(side:another)


パチリと目を開けると
のぞき込んでくる2つの顔。

ガバッと起きあがると、自分が山崎の膝で寝ていたことに気付く。


「お、おはようござ、います…?」

「おお、夕方だがな」

「え、土方さん、それイヤミですか」


それに対してハハッと苦笑した土方は、ふと桜の片手に収まっている物に気がつく。


「ソレ、何だ?」

「え、これですか?」


土方が指差したのはケータイだった。
山崎も同じ疑問を持っていたらしく、うんうんと頷いていた。


「えっとですね、…これは『携帯電話』という機械です」

「ケータ……、きかい?」


山崎が復唱するも、どうやら伝わってないらしい。


「え、『機械』で伝わらないんですか!?うーんと、遠くの人と話したり手紙のやり取りができる…その、仕掛けがありまして…えーと」


言葉を選びつつ説明していると、土方が助け舟を出してくれた。


「カラクリみてえなもんか?」

「あ、そうです!そんなもんです!」


慌てて肯定すると、山崎が「ふむ」と納得して


「先の時代ではそんなものがあるんだな」


と言った。
そこで桜が


「そうですよ?他にも写真が撮れたりしますけど……撮ります?」


と言うと
山崎と土方は顔をしかめた。


(えっ、なんで!?)


桜は首を傾げるしかなかった。




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