桜が散るように ー 新撰組 ー



もちろん、そんな機能なんて知らない二人は気付かないで会話する。


「しかしアレだな。先の世じゃ、ホトガラに色が付くんだな」

「それは俺も驚きました。まるで景色をそのまま切り取ったみたいで」

「山崎さん、粋な言い方しますね」


だが、山崎の言う通りだ。

『写真』という、読んで文字の如く、真実を写すものだから。


「…先の世は、進んでるな」


土方が、すこし悲しげに言う。

その表情で、分かった。

多分、土方は、この国の行く先を、そして、新撰組の末路を解ってしまったのだと。


「土方さん…。新撰組は…」

「いや、いい。俺らの…、俺の選ぶ道は変わらねえよ」


だから気にすんな、と、頭を優しく撫でてくれた。

安心するのに、心強いのに、この人なら未来を変えてくれるかもしれないと思うのに

泣きたくなるのは何故なんだろう。


撫でてもらっている間、ずっと俯いていた。


ふと、頭から温もりが離れて、つい目で離れていく手を追ってしまう。

情けない顔をしながら。


「ったく、なんつー顔してんだよ。……、ほれ」


そう言って腕を広げる土方。

それに近づこうとすると、山崎に腕を掴まれる。


「どうしたんですか?山崎さん」


そう訊いたが、山崎は土方を見ながら口を開く。


「…やりすぎじゃないですか、副長」

「??」


訳が分からない。




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