桜が散るように ー 新撰組 ー
ムッとして土方を見ると、それに気付いた土方は笑うのをこそやめても、楽しそうだった。
「そんな目ぇして睨むなよ、桜。怖くねえから」
「ぐっ…。でも、私、これでも察するのは早いと思っていたんですが…」
「まあな。でもあることについては山崎の言う通りだな。人一倍に」
「糞鈍感なんですか!?」
「…年頃の娘が『糞』とか言うなよ」
土方が呆れたように口にした言葉に対し、小さくすみませんと返す。
山崎は、『ほら見ろ』と言わんばかりの顔だ。
「う、…山崎さんのバカ」
「馬鹿という方が馬鹿だ」
「山崎さんの方が一回多く馬鹿って言いましたー!ばーか!」
「今ので川瀬が上回ったが?」
「お前ら、子供じゃねえんだから」
山崎との不毛な言い争いは、土方に仲裁された。