桜が散るように ー 新撰組 ー


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「うぇー、また潜入調査ですか?」

「『また』とは何だ。初の一人仕事だろうがよ」


土方の口から告げられた内容に、渋い返事を返すと、ペシッと軽く頭を叩かれた。

言われたことは、
桝屋という炭薪商の店主の動向を見張るため、近くの甘味屋で働け、ということだった。


「なんで見張るんですか?」


と訊くと


「長州藩が出入りしていると情報があってだな、そこに武器やらを隠している可能性もある」


と、土方が答えた。
なぜ長州藩が出入りしているといけないのだろうか、と疑問を口にすると


「俺らが使えている会津藩や、薩摩藩は公武合体派でな」


と言われたが分からない。


「……公武合体?」


もっと日本史を勉強しておけばよかった、と思った。


「はぁー。そんなのも知らねえのか」

「いやー、あは!」

「朝廷と幕府が協力体制になることだ」

「ほほー。そうなんですか…」


そんな考えがあったんだ、と感心する。



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