桜が散るように ー 新撰組 ー
しかし、この人は目敏かったようで、一瞬で顔を確認してしまったらしく
「あのさ、」
「は、はい?」
「間違ってたら悪いんだけど…」
「……」
「椿さん、だよね」
「………」
バレて、しまった。
「アタリ?」
そう言って爽やかに笑うが、はっきり言ってその通りが故に笑えない。
笠を取って、頷く。
「気付かれるなんて思ってなかったですよ…」
「いやー、椿さんてば女の子なのに剣ダコがあるから気になってたんだよねー」
「ああ、なるほど」
観察力が優れてるんだな、と思った。
「僕は吉田稔麿。君の名前は?」
「え?だから、椿ですけど」
「え?」
「え?」
吉田が首を傾げるのにつられて、自分も首を傾げる。
「偽名だと思ってたよ」
「え!!?アッハ!変なこと言わないでくださいよ!」
厄介な人だ、と
冷や汗を流す。