桜が散るように ー 新撰組 ー
空気がピリピリとして、肌が粟立つ。
(殺気―――!)
桜は、暗器を放つ準備をしようと手を伸ばすが、殺気が強くなるので諦める。
「桝屋について、探らないでくれないかなぁ」
「なんで、ですか」
「んー?君が優秀で、調べちゃったらコッチが危ないから」
「やっぱり、何かあるんですね」
「うん、だから計画を台無しにされると困るんだよねー」
そう言われて、桜はニッコリ笑い返す。
まるで、「面白いことを言いますね!」とでも言うように。
「それは無理な相談ですよ吉田さん」
「命の保証は出来ないよ?」
「それでも。だいたい、そんな脅しをかけられたくらいで素直に怯える私じゃないんで!」
桜がそう言うと、吉田はケラケラと声をあげて笑う。
「アッハッハ!彼奴が気にかけるわけだよ!あーおかしい」
「…む」
「楽しませてもらったから、お礼に僕が知ってることを教えてあげる」
このあとに続く言葉を聞かなければ良かった、と後悔することになる。
「――――え」
本当に、聞かなければ良かった。