桜が散るように ー 新撰組 ー
*********
頭を冷やすべく、夜空の下にずっと居たら、ずいぶんと時間が経っていたらしく
「…なんでこんなに遅い」
「すみません……」
山崎に説教され、深々と頭を下げるハメになった。
土方はもう寝ていたので、起きていた山崎に今日の報告をしようとしたのだが、
(朝になってから土方さんに言えば良かった…)
と、思った。
「で、理由は何だ」
「いやぁー、何でしょうね!」
「ふざけるな」
「ごめんなさい」
怒り心頭な山崎に全てを伝えるべく、開口する。
「芳野の知り合いに会いまして…」
「………何?」
ぴくっと山崎の眉が動く。
「『桝屋について調べるのはやめろ』との忠告を受けてまして」
「遅くなった理由はそれか」
その言葉に、頷くかどうか迷う。
それが全てではない。
「いえ…。まだ…」
言おうか言うまいか。
まだ自分も受け入れられてないのに。
正座している足の上でギュッと拳をにぎると、山崎は無言で立ち上がり、部屋を出る。