桜が散るように ー 新撰組 ー



吉田は喉を動かして団子を飲み込み、お茶を一口流し込む。


「あー、君と話す口実が欲しかったみたいなー」

「雰囲気の欠片もない言葉ですね…。で、今日来た目的はなんですか?」

「んーとね、本当に諦めてないかどうか、見にきた」


口先だけの威勢の良さじゃなかったようで何よりだよ。と言って、吉田は立ち上がる。


「え、ちょ」

「はい、お勘定」

「あ、ありがとうございます」


じゃあねー、と振り返らずに手を振り、吉田は去っていく。


「なんか……あしらわれたっていうか…流されたような…」


やっぱり掴めない人だ、と思った。


敵情視察と言っていたから、桜を見に来たというのも本当だろう。

そこまで新撰組の動きを気にするということは


「土方さんの言ってた尊皇攘夷派………長州藩かな」


ならば芳野はどうなのだろう。



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