桜が散るように ー 新撰組 ー
吉田に、自分はもともとこの時代の人間と言われてから、ずっと、芳野と自分の関係性を考えていた。
同じ名字。
そして、
芳野は桜にこう言った。
――『また忘れたの?』
と。
(私、たぶん…芳野のこと知ってる。いや、知ってた…)
そして、親の言動から考えるに、桜と芳野は―――
「椿ちゃーん、蓬の団子1つ持ってきて!」
「え!?あ、はい!」
思考は客の声で中断された。
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「………桜が?」
「はい。もともと、この時代の人間だと言われたそうです」
山崎から報告を受けた俺は、奇想天外にも程がある、と呆れに似た溜め息をつく。
「ったく、数奇な運命だな…桜は」
「副長?なんか嬉しそうでは…」
「気のせいだろ」
いや、気のせいなんかじゃねぇ。
山崎のいう通りだ。
同じ時代で生まれたってだけで嬉しくなるとはな。