桜が散るように ー 新撰組 ー



吉田に、自分はもともとこの時代の人間と言われてから、ずっと、芳野と自分の関係性を考えていた。

同じ名字。
そして、
芳野は桜にこう言った。


――『また忘れたの?』

と。

(私、たぶん…芳野のこと知ってる。いや、知ってた…)

そして、親の言動から考えるに、桜と芳野は―――


「椿ちゃーん、蓬の団子1つ持ってきて!」

「え!?あ、はい!」


思考は客の声で中断された。



*********


「………桜が?」

「はい。もともと、この時代の人間だと言われたそうです」


山崎から報告を受けた俺は、奇想天外にも程がある、と呆れに似た溜め息をつく。


「ったく、数奇な運命だな…桜は」

「副長?なんか嬉しそうでは…」

「気のせいだろ」


いや、気のせいなんかじゃねぇ。
山崎のいう通りだ。

同じ時代で生まれたってだけで嬉しくなるとはな。




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