桜が散るように ー 新撰組 ー

神は知を罪と言いました



―――
――――
――――――…



思い出して。早く。

―――さくら。




「ヨシ兄ちゃん、あそぼ!」

「さくら。今日はなにして遊ぶの?」


この時、まだ四歳だったさくらは屈託ない笑顔でこう言った。


「かくれんぼ!」


ヨシ兄ちゃんが鬼ね!とフニャッとした笑顔で言われたら


「しょうがないなあ」


断るなんて、出来ないじゃない。


さくらが隠れる間、ボクは後ろを向いて百数える。


「いーち、にーい」


ボク、川瀬芳野と
さくらは兄弟じゃない。

さくらの両親はとある任務で亡くなって、ボクの両親が引き取った。


「ろくじゅうさーん、ろくじゅうしー」


ぼろぼろ泣いて、いつか干からびちゃうんじゃないかってくらい泣いて、ご飯もたべないさくらに、ボクが家族になるから、って。

そう言ったら
さくらはぼろぼろ泣きながらボクに抱きついて。


その日から、ボクはさくらが愛しかった。



< 189 / 242 >

この作品をシェア

pagetop