桜が散るように ー 新撰組 ー



お茶を飲み干し、桝屋を出て

団子屋に戻ったその足で、今日を最後に仕事をやめることを伝えた。


「あらー、でも、いつでもいらっしゃいね。お団子安くするから」

「はい!」


給料を渡されそうになったが、丁重にお断りした。

騙して働かせてもらっていたから、貰えなかった。


足早に屯所へ帰り、土方の元へと行く。

スパーンと襖を開けると土方は吃驚して振り返る。


「土方さん!」

「お、おう」

「やりました!証拠、掴みましたよ!」


そう言って、あの読めなかった紙を渡す。

それにざっと目を通した土方は、ふっと微笑み


「よくやった。書簡と血判書がありゃ、言い逃れなんぞ出来ねえだろう」


桜の頭を撫でた。


「へへっ」


書簡と血判書が何なのかは分からなかったが嬉しかった。

思わず笑ってしまうと、ビシィッとデコピンされた。


「変な笑いかたすんな」

「あうっ」


案外、威力は強かった。




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