桜が散るように ー 新撰組 ー



そして、土方は隊士に呼び掛け、
明日、桝屋に押し入る旨を伝えた。


桜は一仕事終え、疲れきった身体を休めるために早く寝た。



――
―――
―――――…


二、三回寝返りをうち、うーんと唸った後、ぱちっと目をさました。


「あ、朝…?」


あふ、と欠伸をした後で、そういえば今日は山崎と約束した日だと思い出す。


そして、昼過ぎ
山崎が迎えに来たので着いていくと、幾種類の花が咲く、河原だった。


「此処に来たかったんですか?」

「違う。此処には花を摘みに来ただけで、目的地ではない」


そう言って、花を摘み始めたから、桜も摘む。


「この花ってなんていう名前ですか?」

「知らん。花は花だろう」

「おおざっぱ…!」


花に興味はないらしい。
じゃあ何故、と思ったが、それはすぐに解決した。

目的地に、着いたときに。


「…山崎さん」

「ああ、此処が……」


さあっ、と一陣、風が吹く。


「芹沢さんと、梅さんの…墓だ」


バラリ、と二つの墓標に花を撒いた。




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