桜が散るように ー 新撰組 ー



無表情な横顔からは、何も読み取ることはできなかった。


「梅さんが、間者であるという証拠を見つけたのは俺だった」


ばらまかれた花を見る。
綺麗なのに、空しくなるのは


「俺が梅さんを殺したも同然だ」

「……山崎さん」


どうしようもなく、切ないから。


「それからは、情を持つと辛いと。自覚すると情が深まってしまうと。分かってしまったから、自分を抑えることにした」

「…ねえ、山崎さん」


声をかけると少しだけ此方を向いてくれたから、その顔を両手で優しく挟む。


「私に、そういう話をされても、何も言えないんです」

「…ああ」

「梅さんのことを分かったような言葉も、慰めの言葉も、綺麗事も言えないんです」


そんなことしても梅さんが悲しむとか、無責任なことを言えるはずがなかった。




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