桜が散るように ー 新撰組 ー
なるほど、と桜は思案する。
それならば本命は四国屋だろう、と。
土方はそう思っているだろう。
だが
「もしかしたら、裏の裏をかいて池田屋!だったりして」
その可能性も捨てきれていない。
「確かにな。だから、隊を二つに分ける。四国屋に行くヤツと、池田屋に行くヤツに」
「なるほどー」
「だから、桜。早く用意してこい」
土方が用意を急かすが、あいにく刀も腰に差しているし、クナイなどの暗器も仕込んである。
「…すぐにでも行けますけど?」
「……馬鹿野郎」
「馬鹿野郎!?」
「あの羽織の使い時は、今だろうが」
一瞬、ポカーンと口をみっともなく開けてしまった。
だがそれはすぐに笑顔に変わる。
「はいっ!!」
そして、桜は部屋まで駆けた。