桜が散るように ー 新撰組 ー
この人数の少なさで二手にわかれるのは結構痛い。
そこで土方は、おそらく本命であろう四国屋に人数を割き、池田屋には人数こそ少なかれ、やり手ばかりの少数精鋭にした。
「桜さん、一緒ですね!」
「そうですね、沖田さん…」
「なんか暗くないですか?」
「沖田さんは黒……いや、なんでもないです」
「はい?」
「なんでもないです」
本命にいかせてもらえない悔しさからか、黒い靄を増幅させる沖田。
(あぁあ精神的疲労が今日一日で半端ないだろうなあ…)
桜は力なく笑う。
そうしていると、土方が桜に話しかけた。
「桜」
「はい」
「池田屋が本命だったら、すぐに行くからよ」
「…、私も、四国屋が本命だったら、すぐに行きますよ!」
ニッコリ笑って、土方の顔を見上げると、土方も微笑んでいた。