桜が散るように ー 新撰組 ー



土方は通りすがりざまに桜の頭にポンと手を乗せ、隊士の前に立ち、声を張り上げた。


「行くぞテメエ等!」


クルリと振り返った背中に、皆がついていった。


――
―――
―――――…


そして、池田屋前。


「コッチが本命ですか、ついてますね!」

「あはは、そう言って良いものかどうか…」


先ほどまでとは一転して、背後に花を撒き散らす沖田。

対して、苦笑が絶えない桜。

近藤局長率いる桜達だが、人数は十数人。


「行こう」


近藤が一言、そう言うだけで、皆の表情が引き締まった。

緊張こそしているものの、自信満々な表情だ。

(ほんと…心強いな)


そして、堂々と宣戦布告をして突入していく背中についていった。


中に入ると、暗い。が第一印象だった。


(敵が…灯りを消した?)


おそらくは、その方が勝率があがるから。

しかし、昼夜問わず山崎に特訓されていたせいか、月明かりだけでよく見える。




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