桜が散るように ー 新撰組 ー
中に進みながら襲いかかる敵をなぎ倒す。
できるだけ最小限の動きで。
それにしても、沖田の強さはやはり段違いだ。
もう背中が遠い。
(吉田さん…いないな。来てないのか…二階にいるのか…)
階段を探す。
しばらくして、それを見つけ、二階にあがる。
そのころには浅黄色は赤に染まっていた。
タンタン、と階段を上がると
「…やっぱり居ましたか。吉田さん……芳野」
二人の男の姿が月明かりに浮かんでいた。
「うーん、やっぱりこっち側にとっては脅威だよね。だから牽制したのに、僕は」
「稔麿は勝手に行動しただけだよ」
窓の柵に寄りかかり、余裕そうな二人にクナイを投げつける。
二人とも必要最小限の動きで避けた。
そして、
「桜は、やっぱり『さくら』じゃないのかな」
芳野はそう言って
泣きそうに微笑む。