桜が散るように ー 新撰組 ー
*********
「ありがとう」
それを言われた瞬間、俺はやっと安心できた。
ああ、もう一人じゃない。
やっと見つけた。
さくらとかくれんぼをしていた日、森に入った『ボク』は泣きそうになった。
次第に雨が降りだして、視界が悪くなる。
天気の良い日には村の大人でも迷うのに、さくらは一向に見つからなくて。
捜す方まで孤独になるなんて知らなかった。
草木を掻き分け、辿り着いたのはぼろぼろの小屋。
雨風をしのげるだけの、そんなところで、さくらは泣いていた。
『みっけ。さくら』
そう言うと、さくらはボクに突進するように抱きついた。
『…ありがとう、ヨシ兄ちゃん』
ぐずぐずと泣きながらお礼を言うさくら。
『さくらの負けなのに?』
『…うん』
『変なの』
さくらを見つけて、安心したのはボクも同じだった。