桜が散るように ー 新撰組 ー
桜が居た平成という時代は平和だった。
もう、忘れていいから。俺のこと。
俺はもう救われた。
ありがとう。
『桜』のことも好きになれそうだ。
ふっと笑うと同時に、身体に力が入らなくなる。
「ヨシ兄ちゃん…」
「ありが、とう、…さくら」
バイバイ。
「私、ヨシ兄ちゃんのこと大好きだったよ」
うん、俺も。
だから、泣かないで。
やまざき君。
頼んだから。
さよなら、さくら。
好きだった。
ありがとう。
視界が真っ黒に潰されてゆくけれど、もう孤独は感じなかった。
――ありがとう
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動かなくなった芳野を見て、ただ涙を流す桜。
山崎が苦しそうな表情をしているのに気付かなかった。
「ヨシ兄ちゃん…。ありがとう」
目を閉じて、まだ温かい額に自分の額をつける。
(『芳野』のこと、苦手だったけど、嫌いじゃなかったよ。さよなら)