桜が散るように ー 新撰組 ー
大好きだから、さよなら
瞬間。
桜のまわりが光に包まれる。
(これ―――!)
バッと振り返ると、俯いている山崎が。
山崎は、桜を帰そうとしていた。
平成に。
「な、なんでっ、山崎さん!」
「あの村にあった本に、書いてあった。時空移動の方法が。それに伴う犠牲と代償も」
淡々と話す声は少し震えていた。
「な、なんで、私のこと、好きって言ってくれたじゃないですか…。それなら傍に居させてくださいよ!」
急すぎて訳が分からない。
なんで、どうして。という言葉で脳内は埋め尽くされた。
「好きだからだ」
「…え」
「俺のことを忘れて―――幸せになれ」
「なんで…っ、なんでよ!忘れたくないですよっなんで…っ」
自分の足が消えかかっている。
「…嫌ですっ、絶対…!」
「もう戻ってくるな、忘れろ」
「っ、山崎さん!」
最後に見たのは
山崎の目から落ちる涙だった。