桜が散るように ー 新撰組 ー
七:だから、どうか
幸せに
――
――――…
満月が、少し恨めしい。
「すいません副長」
「……」
「川瀬を、戻しました」
「…そうか」
副長がフーッと息を吐く。
俺は、川瀬を先の時代に帰した。
願わくは、この時代に時空移動したことを忘れてくれ、と。
副長は少し寂しそうだった。
でも、生きていて欲しかったんだ。
平和な時代で。
俺の我が儘だが。
――『満月だと良いですねー』
どうでもいい。
満月だろうが新月だろうが。
お前が生きていれば、それで。
帰れないなら
生き残る術を教える。
それでも駄目なら俺が守る。
帰れるなら、
俺は止めはしない。
生きて、幸せになってほしいんだ。