桜が散るように ー 新撰組 ー
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中庭に行くと、誰も居なくてホッとした。
「逃げるなよ、か……。帰る場所なんてないのにね。」
この時代に私の家はないし、頼れる人も居ない。
逃げ出してものたれ死ぬだけだろう。
そのとき、私は中庭に桜の木があることに気がついた。
私は桜の木に近寄って、触れてみる。
目を閉じると、母の言葉が蘇る。
《私があなたに“桜”って名前をつけたのはね。桜のように、何度散っても咲くように……何度辛い思いをしても、立ち直るようになって欲しかったからなの。》
「……お母さん。」
辛い思いとは、ここまで辛くなくてはいけなかったのですか。
立ち直るにはどうしたら良いのですか。