桜が散るように ー 新撰組 ー


どうやら動画を見ているようで、無言だ。

真面目な顔で画面を見つめている。


「アンタ、家が和式だったことは?」

「…ない、よ。ずっと洋式だった」


答えると、美紅は「ふーん」と言って再び無言になる。

そして、見終わったのか、イヤホンを耳から外してケータイごと桜に渡す。


「…、コレはちゃんと見た方が良い」


桜はおずおずと受け取り、再生する。


「……あ」


つい、声を出してしまった。
知らない場所、知らない人と、自分が映っていた。

でも、涙が出た。



『なんで叩くんですか、山崎さん!』

『糞鈍感だな、川瀬』

『糞鈍感!?』

『年頃の女が糞とか言うなよ』


『う、山崎さんのバカ』

『馬鹿という方が馬鹿だ』

『山崎さんの方が一回多く馬鹿って言いましたー、バーカ!』

『今ので川瀬が上回ったが?』


泣きながら、笑ってしまった。

下らない、でも温かい会話。



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