桜が散るように ー 新撰組 ー
涙を拭っていると、美紅は焼酎を飲み干し、そして笑う。
「アホな会話だね~。でも、アンタ、幸せそうだよ」
「うん、美紅」
「ん?」
「ありがとう……思い出したよ」
そう言って、泣きながら全てを語った。
時空移動のことを。
美紅は肩を抱き寄せてくれた。
「…信じがたいけど、本当なんだね」
「うん」
「…、戻るの?」
「―――うん」
戻りたかった。
あの時代に居たときは平成が恋しくて、平和を望んでた。
でも、自分は我が儘なようだ。
温かい、あの人と一緒に居たい。
思い出したかったことを思い出した。
(ごめんなさい、山崎さん)
忘れるのは、無理だった。
「…会いたい、です。――山崎さん」
その瞬間、桜の周りを光が包んだ。