桜が散るように ー 新撰組 ー



そして、土方の片手を両手で包む。


「私、土方さんと居ると、安心しました。頭を撫でてくれるこの手が、大好きでした」

「…、ああ」

「でも、ドキドキするのは山崎さんです。愛しくなるのは、山崎さんだったんです」

「……分かってる。さ、行け」


土方がそれを言ったと同時に、桜は走る。

ごめんなさい、も
ありがとう、も

言わずにいた。
言うのは失礼だと思った。

ただ、受け止めようと思った。



手当たり次第に扉を開け、ようやく目当ての部屋を見つけて、なだれ込んだ。


「っ山崎さん!」


荒く息をする山崎に駆け寄ると、山崎はうっすらと目を開けた。


「……、川、瀬?」

「ごめんなさい、ごめんなさい山崎さん…!戻って来ちゃいました!」


泣きそうになりながらも、テへ、と笑うと、山崎はふっと微笑んだ。


「…相変わらず、短絡的だな」

「三年ぶりの再会で第一声がそれですか」

「………会いたかった」


その言葉に
溜まった涙がこぼれ落ちた。



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