桜が散るように ー 新撰組 ー
桜は寝ている山崎に抱きついた。
「好きです、山崎さん」
「……そうか」
「平和より、貴方を望んでしまいました」
「……馬鹿だな」
「今は、馬鹿で良いです」
だから、生きて下さい。と言うと、山崎の笑い声が耳元で聞こえた。
そして
次の日の朝。
「山は、越えたよ」
医者の一言で涙腺が緩んだ。
流れ落ちる涙が止まらない。
「山崎さん、山崎さん!」
「うるさい」
「ごめんなさい!でも嬉しくて」
部屋の角では、土方と医者が話していたが、両方の顔も明るい。
本当に山は越えたらしい。
土方がまだ布団で横になっている山崎に近付き
「…戦線から、外れろ」
と言った。
けど、その表情は柔らかい。
けして、要らなくなったわけではない。と表情が物語っている。
山崎にもそれは分かっていたのだろう。
ひとつ、うなずいた。