桜が散るように ー 新撰組 ー
なぜ私はこの時代に来たのでしょうか。
それに……。
「私には泣くことすら許されないの……?」
泣いて楽になるのはダメですか?
強い風が吹き、桜吹雪が舞う。
ピンク色の小片が、散る様は、まるで涙のようだった。
――
―――
――――…
「副長。山崎です。」
「入れ。」
土方がそう言うと、襖を開けて、黒装束に身を包んだ青年が入ってきた。
土方は筆を置き、山崎と名乗った青年に向き直る。
彼の名は山崎丞。
監察方だ。
「報告します。川瀬桜についてですが……、何一つ情報がありませんでした。」
「何一つ……無かったのか?」
土方は眉をひそめる。
何一つ情報が無い、というのは、情報が厳重にかくされているか………もしくは、存在しないことしか考えられない。