桜が散るように ー 新撰組 ー
それから、私達が恋仲になるのは長くはなかった。
でも
病は幸せな時間すら奪っていく。
私はもう、起き上がることは出来なくなっていた。
「お美弥さん」
「はい」
「我が儘、言ってもいいですか?」
「はい、どうぞ」
にこやかな表情の下は、きっと泣いている。
ごめんなさい。哀しませたくはなかった。
でも、最期の我が儘です。
叶えてほしいとは思わない。思えない。
「貴方と、一緒に、新しい時代を見たかったです」
「……総司さん」
「ごめんなさい」
――先に、逝きます。
目が開けられない。
暗くなっていく視界。
ひとつ見えたのは
空は、浅黄色だった。
お美弥さん。
誰もが平等な時代になります。
私は、貴方と、女中や武士関係なく、新しい時代を生きてみたかった。
願うのは
【貴方と一緒の目線で】
(同じ世界を見たかった)